もこ もこもこ/たにかわ しゅんたろう(作)、もとなが さだまさ(絵)

最初に言っておこう、超絶オススメである。

巨匠、谷川俊太郎の作品。擬音語と図形の変化で話が進む、異世界感満載の絵本である。擬音語が楽しく、変化が分かりやすい図柄で子供の人気は高い。0歳児でも十分に楽しめる。

ところが、この絵本のメッセージは、こどもが理解しているとは思えないほど奥深い。それは、悠久とも言える果てしない時間の中に生きる、我々生物・生命の儚さである。また弱肉強食や寿命、世代交代などの描写を介して、自然の摂理には逆らえない生き物のサガを描いているとも言える。諸行無常であり、兵どもが夢のあと、の世界観である。世界観的には、手塚治虫の火の鳥シリーズにも近いものがある。本書ではそれを、たった1ページのラストシーンで読者に気づかせているところに、谷川俊太郎のすごさを感じる。

表紙やタイトルのユルさに騙されてはいけない、数少ない必読の絵本だ。是非皆さんにも読んでほしいし、子供に読んであげて欲しい。


対象年齢:0~5
ジャンル:擬音語遊び(図形の動き)
プロット:時間の雄大さに対しての一個人の人生のちっぽけさ
絵の質:ビビッドな色と形での表現

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